He spoke well of you.

丁度一週間前の10月28(火) 、迎賓館で日米首脳会談会談が行われましたが、この席でトランプ大統領から高市首相に対してこんな発言がありました。

“He spoke so well of you long before we met, and I’m not surprised to see that you are now the Prime Minister, and he would be very happy to know that.” 

「彼は、私たちが会う前からずっとあなたのことをとても良く言っていました。そして、あなたが今総理になっているのを見て驚きはありません。彼は、それを知って非常に喜ぶでしょう。」

Heとは故安倍元首相をさしています。

He spoke so well of you.

彼は貴方のことをとても良く言っていました。

別の言い方をすれば

彼は貴方を高く評価していました。

相手を褒める表現としてこれに勝るものはないと私は思います。

私も実際のビジネスシーンでこの表現をよく使います。

I’m not surprised to see that you are now the Prime Minister

あなたが今総理になっているのを見て、私は驚いてはいない

言い換えると

わたしは貴方が総理であるのは当然だと思います。

私はこのI’m not surprised という表現もとても気に入っています。

なかなか日本人が日常的に使える英語フレーズではないですが、一捻りしていてとても良い英語表現だと思います。

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Yamamoto is the GOAT

Yamamoto is the GOAT

ワールドシリーズでドジャースはものすごい接戦の末、第七戦でトロントブルージェイズを破り、初の2連覇を達成しました。

このシリーズで山本由伸選手は何度もピンチを切り抜けワールドシリーズで3勝という偉大な記録を残しMVPとなりました。

試合後のインタビューでロバート監督が叫んだYamamoto is the goatを聞いて、おやっ?と思った方もいるのではないでしょうか。

「Yamamoto is the GOAT」は文字通りは「山本はヤギだ」ですが

英語のスラングでGOAT は動物の「ヤギ(goat)」ではなく、

“Greatest Of All Time”(=史上最高) の略です。

つまり、”Yamamoto is the GOAT”は

「山本は史上最高の選手だ、山本は最高だ」

という意味になります。

ロバート監督は山本由伸投手の実力やパフォーマンスを大いに称賛している言葉です。

言い換えると

「山本はすごすぎる!」「彼は最強!」

という意味の最高の褒め言葉です。

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glass ceiling

glass ceiling ガラスの天井

glass ceilingとは女性やマイノリティが平等な機会が与えられているように見えても、実際にはキャリアの上昇を阻む見えない障壁が存在していることを指する言葉です。ところで、最初にこの表現を使ったのは誰でしょうか?

その人はMarilyn Lodenです。

Marilyn Loden, 1946–2022)はアメリカの作家で、ジェンダー平等・多様性推進の専門家です。

Lodenは1978年にニューヨークで開かれた女性に関するパネルディスカッションで女性が管理職に昇進できない理由が「自信の欠如」や「仕事の質」ではなく、組織内に存在する見えない構造的な障壁、glass ceilingであると説明しましたが、これが初めてこの表現が使われた瞬間です。

10月4日に行われた自民党の総裁戦で高市早苗衆議院議員が自民党総裁に選ばれました。

ご本人はことさら男性、女性と区別されるのはむしろいやだと思いますが、自民党にとっては初の女性の総裁であり、まさに「ガラスの天井を破った」といえるのではないでしょうか。

Sanae Takaichi broke through Japan’s political glass ceiling by becoming the first woman elected as the leader of the Liberal Democratic Party.

「高市早苗は自民党の最初の女性リーダーとなり日本政治のガラスの天井を破りました」

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神輿

担ぐ神輿は軽いほうがよい 

この日本語を英語に直訳するとIt’s better if the mikoshi (portable shrine ) is light to carry.ですが

日本の政治的比喩を考慮した自然な英語表現にすると

It’s easier to carry a lightweight leader.

A leader who doesn’t think for himself is easier to control.

これは日本の政治の世界で使われる表現ですが、ところで西欧の文化でもこれと同じ文化はあるでしょうか?

答えはYESです。

この考え方「頭の切れる独立したリーダーよりも、自分で考えない従順な人物を担ぎ上げて操るほうが都合がよい」という発想は、日本独自というよりも政治の世界では普遍的に存在します。

英語では、次のような表現があります。

puppet leader(操り人形のリーダー)

figurehead (名目上のトップで実権のない人)

puppetに類似したフランス語由来の英語でmarionette (操り人形) も使われます。

ところで、puppetとmarionetteはどう違うでしょうか?

puppet, marionette どちらも日本語に訳すと同じ「操り人形」ですが、その違いはpuppetは指で動かす操り人形ですが、marionetteは人形を糸でつるして上から操る操り人形です。

歴史的にも、王政時代の「傀儡王」や、企業や政党内の「お飾りのトップ」はたびたび登場します。

イギリスやフランスの政治史でも、影響力の強い顧問や派閥が「表のリーダー」を 立てて、自らは裏から実権を握るケースがありました。

日本的な表現の特徴は「神輿」という文化的モチーフを用いている点です。

神輿は中身がなくても外見が立派なら担ぎ手が盛り立てる、という特性があり、それがそのまま「中身のないが軽くて扱いやすいリーダー」に結びつきました。

英語では「宗教的祭礼に担がれる神輿」を比喩に使うことはなく、代わりに「人形」「操り糸」「お飾り」といったモチーフが使われるのが一般的です。

puppet leader, figureheadを使った例文をご紹介します。政治の場面とビジネスの場面での例文をそれぞれ1つご紹介します。

puppet leader

Many critics argue that he is nothing more than a puppet leader, controlled by powerful business interests behind the scenes.
「多くの批評家は彼が裏で強力な企業勢力に操られている単なる傀儡リーダーにすぎないと主張している」

The party installed a puppet leader so that the real decisions could be made by senior advisors.
「党は実際の決定を上層部の顧問が行えるように、傀儡のリーダーを据えた」

figurehead

Although she holds the title of CEO, she is largely a figurehead; the real authority lies with the board of directors.
「彼女はCEOの肩書きを持っているが、実質的にはお飾りにすぎず、実権は取締役会にある」

The king remained a respected figurehead, while the prime minister exercised actual power.
「国王は尊敬される象徴的存在にとどまり、実際の権力は首相が握っていた」

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花道

以前、私はカナダ人の仕事仲間に日本の文化「花道(flower road)」について説明を試みたことがあります。しかし、そのカナダ人には理解しがたいものでした。

そこで日本語の「花道を与える(最後に立派な形で送り出す)」という文化は英語圏の人々の間には存在しないことを実感しました。花道は日本文化に特有の「体面を保って去る美学」に根差した概念だと思います。

「花道を与える」は歌舞伎の「花道(はなみち)」から来た言葉で、「最後の見せ場」や「晴れの舞台」を用意するという意味合いで使われる表現です。

欧米ではそれに近い「去る人を称える」文化は勿論ありますが、「意図的に花を持たせる」ような美的儀式は見られません。

先日、トランプ大統領が石破首相に「トランプ関税合意を花道にして与えた」という日本の報道があり、いろいろ調べてみましたが、トランプ大統領が「花道(flower road)」という表現を使って発言したという記録はなく、原文ではこう発言しています。


「I just signed the largest trade deal in history with Japan」

(歴史上最大級の貿易協定を日本と調印した)

「Japan will invest, at my direction, $550 billion. This deal will create hundreds of thousands of Jobs —There has never been anything like it」

(日本は私の指示のもとで、5500億ドルの投資をします。この取引きは何十万もの雇用を生み出すでしょう。このようなことはこれまで一度もありませんでした)

この原文のどこにも「flower road(花道)」という言葉や比喩は一切使われておらず、トランプ大統領が石破首相に「花道を与えた」という文脈は、英語原文のどこにも見当たりませんでした。

どうも日本の一部メディアは、自民党の参院選敗退・党内の退陣圧力と関税合意のタイミングを重ね、「関税協議合意=>石破首相の花道」という文脈で報じたようです。「花道にして与えた」という表現は、トランプ氏の発言ではなく、日本国内のメディアの報道であったのが実態だと思います。

去る人を称えるという英語表現としてはこれらがあります。

send (someone) off with honor / dignity (名誉をもって送りだす)

graceful exit / departure(上品な辞任・退場)

final curtain call (人生最後の見せ場)

これらは日本語の「花道」に近いかもしれません。しかし、これらには”意図的に成果を美化する”という意図はありません。

英語表現として「去る人を称える」文化はありますが、英語圏には日本の様に「意図的に花を持たせる」文化は存在しないと理解するのが正しいと思います。

欧米では成果や実績の評価に焦点があり、形式的・儀礼的な「花道」を作ることはせず、個人の選択や意志に委ねることが多いのだと思います。

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serendipity

serendipity セレンディピティとは「偶然の幸運な発見」や「思いがけない素晴らしい出会い」を意味する英語です。

この言葉は、18世紀のイギリスの作家ホレス・ウォルポール(Horace Walpole)が1754年に作った造語で、ペルシャのおとぎ話『セレンディップの三人の王子(The Three Princes of Serendip)』に由来しています。

この王子たちは、旅の途中で偶然から予想外の知識や発見を得る能力に長けていたことから、serendipityという語が生まれました。

serendipityを原題とした2001年公開されたアメリカ映画があります。この映画では、男女が偶然出会い、再会を信じて「運命」にすべてを委ねるというロマンティックな物語が描かれています。物語全体が「セレンディピティ=運命の偶然の出会い」の概念を象徴しています。

『セレンディピティ』(原題:Serendipity, 2001年 アメリカ)

監督:ピーター・チェルソム

主演:ジョン・キューザック、ケイト・ベッキンセイル

科学やビジネスの分野でserendipityが発生した実例を3つご紹介します:

1. ペニシリンの発見

1928年にアレクサンダー・フレミングが実験室で放置されていたシャーレに青カビが生え、周囲の細菌が死滅しているのを偶然発見しました。これが世界初の抗生物質「ペニシリン」の発見につながり、感染症治療に革命をもたらし、数百万人の命を救いました。

2. ポスト・イットの誕生

3M社は強力な接着剤を開発する予定でしたが、偶然「弱い接着剤」ができてしまいます。これを活用して「何度も貼ってはがせるメモ」が生まれ、世界中で使われる大ヒット商品となりました。

3. 電子レンジの発明

1945年にパーシー・スペンサーがレーダー機器の前に立っていたとき、ポケットに入れていたチョコレートが突然溶けたことに気づき、そこから「電子レンジ」が発明されました。


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エマニュエル・トッドの『西洋の敗北』を読んで

2024年11月10日に第一刷が発行されたエマニュエル・トッドの『西洋の敗北』を5月に読みました。著者は1951年生まれのフランスの歴史人口学者・家族人類学者です。たいへん読み応えのある一冊ですが、日本のTVや新聞で見聞きする内容とは違った斬新な切り口で世界で今起きている出来事を分析しています。過去の出来事の分析もさることながら、2025年以降世界でこれから起きるであろうことも予測しています。この本は予言書といってもよいかもしれません。是非一読をお勧めします。

トッドはこの本の中で現在の西洋文明が深刻な危機に直面しており、その衰退が歴史的に不可逆的なものであるという見解を論理的かつ大胆に展開しています。彼はアメリカとヨーロッパ、特にアメリカが主導してきた戦後世界秩序が崩れつつあり、それは単なる国力の衰えではなく、知的、道徳的、政治的、社会構造的な総体としての「文明の敗北」であると捉えています。トッドがアメリカ人、イギリス人ではなく、フランス人であるがゆえにここまで大胆な分析ができたのではないかと思います。

以下に要約します。

ウクライナ戦争が暴いた「西洋の限界」

トッドは、ロシアのウクライナ侵攻とそれに対する欧米諸国の反応を、単なる地域紛争ではなく、「西洋文明の崩壊」が露呈した象徴的な出来事として分析しています。西側諸国は、ロシアを経済制裁や国際的孤立で追い詰めようとしましたが、ロシアは予想を超えて耐え抜いており、むしろ制裁は非西洋諸国との結びつきを強化する契機となったと論じています。

欧米は、「正義」「自由」「民主主義」といった普遍的価値を掲げてロシアに対抗しましたが、実際には西側の価値観そのものが世界の多くの国々で受け入れられていない現実が浮き彫りになりました。トッドは、西洋が自らの価値観を世界に押し付ける過程で、かえって国際的信頼を失い、自滅的な孤立へと向かっていると警告しています。

経済的・軍事的衰退と構造的な行き詰まり

アメリカとヨーロッパが主導してきた「リベラル経済モデル」は、1980年代以降のグローバル化によっていったんは成功したかに見えましたが、現在では深刻な格差、産業の空洞化、中産階級の崩壊を招いていて、トッドは、経済の金融化と実体経済の乖離がもたらした不安定さも問題視していて、かつての製造業主導の健全な資本主義が失われたことを憂いています。

軍事面でも、欧米諸国の力はかつてのような圧倒的なものではなくなっていて、アフガニスタンやイラクでは介入失敗に加え、ウクライナ戦争でも決定的な影響力を発揮できていないと考えています。

知的・道徳的退廃と「民主主義」の変質

トッドは、現代西洋の最大の問題は「知的退廃」であると述べています。自由な言論や多様性の尊重を掲げながら、実際には反対意見を排除し、イデオロギーの統一を強制する風潮が強まっている。とくに大学、メディア、SNSなどにおける自己検閲や「キャンセル・カルチャー」は、本来の民主主義や自由主義の精神を損ねていると考えています。

このような状況は、表面的には「リベラル」とされますが、実際には新たな形の全体主義であり、言論の自由や個人の尊厳をも脅かしているとトッドは断じています。彼は、民主主義が形式だけのものとなり、実質的には民意や多様性が軽視されるようになっていると批判しています。

家族構造と教育制度から見た文明の変化 

トッドの分析の特徴は、歴史人口学と文化人類学的視点から社会の深層構造を読み解く手法にあります。本書でも、彼は西洋社会の家族制度の変化や出生率の低下、教育制度の崩壊に注目しています。

とくに教育制度については、かつて西洋が持っていた知的エリート層の質の低下と、一般大衆の教育格差の拡大が深刻であり、それが民主主義の土台を揺るがしていると警告しています。 知識や情報が過剰に流通する一方で、真の理解力や批判的思考力が失われているというのがトッドの危機感です。

非西洋の台頭と多極化する世界

トッドは、現代世界を「脱西洋化」のプロセスとして捉えていて、中国、ロシア、インド、イスラム圏、アフリカ諸国などが、かつての西洋一極支配から脱却し、それぞれの価値観と制度を持った独自の発展を遂げつつあると論じています。

西洋はこれを「民主主義対専制主義」「善対悪」といった単純な枠組みで理解しようとしますが、それは自らの衰退を直視したくない心理的防衛に過ぎず、トッドは、今後の世界が多極化し、複数の文明が共存する秩序に移行していくと予測しています。その過程で、西洋がかつてのような「普遍的基準」ではなく、一つの「地域的文明」として位置づけられる時代が来るというのが彼の見立てです。

最後に日本語版のあとがきに衝撃的な予言がされています。これはあくまでもトッドの予言ですが。

トッドの予言

ウクライナは、ロシア語話者であるだけでなく自らを「ロシア人」とみなすクリミアとドンバスの住民たちを含めた「すべての領土の奪還」という目的を果たすことはできないだろう。将来の歴史家は、ロシア系住民を服従させるというキエフ政権の計画を、西洋による侵略戦争の一例として振り返ることになるだろう。

又、実際に手にとって読んでいただくとこの本の中に記載されている数字の中には大変興味深い貴重なものがあります。私がずっと疑問に思っていた何故ドイツは日本を抜いてGDP世界第3位になったのか?がこの本の中の数字を見てよくわかりました。この本のPage 186~187にその答えがあります。

何故ドイツは日本をぬいてGDP世界第3位になったのか?

日本と同様に、低出生率がドイツを衰退へと導くはずでした。しかしそうはなりませんでした。ドイツの人口 は、2011年の8,032.7万人から2022年には8,435.8万人への約400万人増大しています。帰化した人も含めてドイツ国籍の人口は2011年の7398.5万人から2022年には7203.4万人へと約200万人も減少しています。しかし、ドイツの外国籍の人口は、2011年の634.2万人から2022年には1,232.4万人へとほぼ倍増、600万人も増大しています。人口がドイツのGDPを大きく引き上げた訳です。

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disseminateとspread

disseminateとspread

disseminateとspreadはどちらも「広める」という意味ですが、ビジネス英語では少し違った意味があります。

disseminateは、情報や知識などをより意識的、計画的、組織的に展開する場合に使われます。ニュースや社内の公式なやりとりなどフォーマルな文脈でよく使われます。

一方、spreadは、より広範囲に、自然に広がる様子を表す場合に用いられ、情報や噂、病気などが広がる場合などに適しています。

先日もこんなやりとりがアメリカのパートナー企業とありました。

Thank you for the meeting yesterday, and for sharing the presentation. I will review and disseminate with the team.

昨日は打ち合わせ、そしてプリゼン資料を共有して頂きありがとうございました。内容をレビューしチームに展開させて頂きます。

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アメリカの大きな変化②(Affirmative Action廃止)

Affirmative Action(アファーマティブ・アクション)とはなんでしょうか?

Affirmative Actionは、アメリカの公民権運動の影響を受け、1961年にジョン・F・ケネディ大統領が発した大統領令10925号によって初めて導入されました。

この大統領令は、連邦政府の契約企業に対し、「人種、肌の色、宗教、国籍を理由に差別しないこと」を求め、さらに「積極的に差別を是正する措置(affirmative action)」を講じるよう義務付けました。

その後、1965年にはリンドン・B・ジョンソン大統領が大統領令11246号を発し、連邦政府機関や請負企業に対し、雇用における差別を禁止し、積極的に人種的マイノリティや女性の雇用機会を確保するよう指示しました。

この流れの中で、大学入試においてもアファーマティブ・アクションが導入され、特に人種や性別による差別の歴史的な不平等を是正するために、黒人やラテン系などのマイノリティ学生に有利な措置が取られるようになりました。

アファーマティブ・アクションは何十年にもわたって論争の的となり、特に大学入試における人種考慮が「逆差別」にあたるとする批判がありました。

そして、2023年6月29日、アメリカ合衆国最高裁判所は「Students for Fair Admissions v. Harvard」および「Students for Fair Admissions v. University of North Carolina」の判決において、大学入試での人種考慮を違憲とする決定を下しました。

これにより、アメリカの大学におけるアファーマティブ・アクションは事実上廃止されました。

この判決により、大学は入試での人種的優遇措置を撤廃せざるを得なくなり、特に黒人やヒスパニック系の学生の入学率に影響が出ると懸念されています。この件について大統領令をまとめますと以下の通りとなります。

  • 導入: 1961年(ケネディ政権の大統領令10925号)
  • 拡大: 1965年(ジョンソン政権の大統領令11246号)
  • 廃止: 2023年6月29日(最高裁判決で違憲判断)

この廃止により、アメリカの教育や雇用における人種的平等の確保が今後どのように変化するのかが注目されます。

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アメリカの大きな変化①(Roe v. Wade判決覆る)

2024年度ハーバード大学卒業式で、首席卒業生のシュルティ・クマールさんが「知らないことの力」をテーマにスピーチを行いました。クマールさんは、「知らないこと」を弱点ではなく、成長と共感のための機会と再認識し、不確実な状況の中で開かれた心と他者を理解しようとする姿勢の重要性を強調しました。

ご興味のある方は以下のURLをクリックしてご視聴ください。

このスピーチの中で彼女はアメリカで最近起きている大きな変化①中絶権の廃止、②アファーマティブ・アクションの撤廃を引用しています。

今年1月20日に第二期トランプ政権はスタートしましたが、このクマールさんのスピーチを聞いて改めて思いました。

トランプ大統領の当選を待たずに、実は既にアメリカは民主党のリベラル主義から共和党の保守主義へ移ってきている

ということです。

このブログではこの大きなアメリカでおきているこの2つの変化について、このクマールさんのスピーチの中で引用されているRoe v. WadeとAffirmative Actionという英語を解説いたします。どうぞお付きあいください。

アメリカで起きている大きな変化①

このクマールさんのスピーチの中で引用されているRoe v. Wadeとは一体何でしょうか?

Roe v. Wadeとは1973年にアメリカ合衆国最高裁判所が下した歴史的な判決で、女性の妊娠中絶の権利を合衆国憲法の下で認めたものです。この判決により、中絶が個人のプライバシー権の一部として保護されることが確立され、多くの州で厳しい中絶制限が撤廃されました。

しかし、2022年6月24日、最高裁は「Dobbs v. Jackson Women’s Health Organization」の判決により、Roe v. Wade を覆しました。

これにより、中絶の権利は連邦レベルではなく、各州が独自に規制できるようになりました。この決定の影響で、多くの州で中絶禁止または厳格な制限が導入されました。

中絶の権利は2024年のトランプ対ハリスのPresidential Debateでも討議のひとつとなりました。

ハリスはトランプに対してトランプは中絶の権利反対論者であるという前提で討論をしかけましたが、トランプは中絶の権利は連邦レベルではなく、各州が独自に規制すべきであると2022年の最高裁の判決と同じ立場であることを主張し、討論はそれ以上進みませんでした。

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