勝海舟は福沢諭吉から、官軍に対し一戦もせずに江戸城を明け渡すとは幕臣としてあまりに情けないと責められたことがあります。
この時、勝はこう言って、全く反論しませんでした。
行蔵は我に存す。毀誉は人の主張、我に与らず我に関せずと存じ候。各人へ御示し御座候とも毛頭異存これなく候。
こうぞうはわれにそんす。きよはひとのしゅちょう、われにあずからず、われにかんせずとぞんじそうろう。かくじんへおしめしござそうろうと、もうとういぞんこれなくそうろう。
現代語に言い換えますと
我が行いは自らの信念によるものである。
けなしたりほめたりするのは人の勝手である。私は関与しない。どなたにお示しいただいてもまったく異存はない。
人は、その行動の結果を、後でとやかく言われやすい。ああすればよかった、こうすればよかったのではないかと、言われるのは常ですね。
そんな時、普通の人は、怒ったり、反論したり、ひどく動揺してしまうと思います
Part 1でも書きましたが、勝海舟は一生の間に20回も刺客に襲われ、生き残り、江戸城無血開城の交渉を始めとして数々の交渉を単身で行ってきました。
この言葉をさらっと言えたのは、本当に肝の座った人物であったのだと改めて思います。